3Dスキャンで読み解く技術の巧み

1、3Dスキャン、現物形状をデジタルデータ化

3Dスキャンは、物理的なオブジェクトや環境をデジタル化し、その形状や外観を三次元データとして再現する技術です。光とイメージセンサを使用する方法は、このプロセスの中で広く採用されています。光とイメージセンサによるスキャニングの基本原理と応用。


基本的
光とイメージセンサに基づく3Dスキャン技術には、主に以下のような方法があります。ストラクチャードライトスキャニング: 特定のパターンの光(格子状やストライプ状)をオブジェクトに投影し、その光がオブジェクトの表面でどのように歪むかをイメージセンサで捉えます。この歪みから、オブジェクトの3D形状を計算します。


応用分野
光とイメージセンサによるスキャン技術は、多岐にわたる分野で応用されています。産業: 自動車、航空宇宙、製造業での品質管理や部品の検査に使用されます。文化財保護: 歴史的建造物や芸術作品のデジタルアーカイブ作成に貢献します。


技術の進歩

最新の研究や開発により、スキャン技術はますます精度が向上し、より速く、より安価になりつつあります。AIや機械学習の統合によって、スキャンデータの処理や解析が自動化され、より効率的なワークフローが可能になっています。

光とイメージセンサによるスキャンは、現実世界をデジタルの形で捉える強力な手段であり、その可能性はまだまだ拡がっています。


 光学式スキャン
3dスキャンの歴史


レーザー式スキャン

レーザー式スキャン(レーザースキャニング)の原理は、レーザー光を用いて対象物や環境の形状や距離を高精度で計測する技術に基づいています。この技術は、主に3つの要素から成り立っています。

1. レーザー光の照射

レーザースキャナーは、レーザー光を対象物に照射します。この光は、非常に細く高密度で、直進性が高いため、遠距離でも精度の高い計測が可能です。照射されたレーザー光が対象物に当たると、その反射光がスキャナーに戻ります。

2. 時間や角度の測定

レーザースキャナーは、反射して戻ってくる光を検出し、その時間(飛行時間:Time of Flight)を計測します。レーザーが対象物に到達して戻ってくるまでの時間から、スキャナーと対象物との距離を求めることができます。また、スキャナーはレーザー光を広範囲にわたって照射するために、角度も変えながら連続的にスキャンを行います。この角度データも同時に取得されます。

飛行時間方式 (ToF: Time of Flight)
レーザー光が出発し、物体に反射して戻ってくるまでの時間を測定し、距離を計算します。この原理を「飛行時間方式」と呼びます。

フェーズシフト方式
レーザー光の波の位相差を利用して距離を計測する方式です。精度が高く、特に短距離で有効です。

3. 3D点群データの生成

レーザースキャナーは、照射した複数のレーザー光の反射時間や角度データを組み合わせることで、対象物や環境の3次元的な形状を計測します。この結果、スキャナーから得られるデータは「点群データ(Point Cloud)」と呼ばれ、数百万〜数千万個の点で構成される3Dモデルとして表示されます。各点の位置情報(X, Y, Z座標)が集積され、対象物の精密な形状が再現されます。

応用例

レーザー式スキャンは、工業製品の検査、自動運転車の環境認識など、さまざまな分野で使用されています。

レーザースキャニング

 

3Dスキャン事例

 

2、三次元座標を点群データで採取

点の生成

スキャンされたデータは、最初に生のセンサーデータとして取得されます。このデータは、対象物の表面の特定の位置を示す一連の点に変換されます。各点は、3次元空間内の座標(X、Y、Z)と、場合によっては色や反射率などの追加属性を持ちます。この変換は、スキャナーからの生の出力を処理して、空間内の点として解釈できる形式に変換するアルゴリズムによって行われます。


点群データの整理

変換された点は集合として管理されますが、この集合は非常に大量のデータを含むことがあり、直接扱うのが難しい場合があります。点群データの整理には、ノイズの削減、アウトライヤーの除去、データのダウンサンプリングなどが含まれることがあります。これにより、データの品質が向上し、後続の処理が容易になります。


解析と活用

整理された点群データは、CAD(コンピュータ支援設計)ソフトウェア、3Dモデリングツール、またはシミュレーション環境で使用するためにさらに加工されることがあります。これらのデータは、リバースエンジニアリング、バーチャルリアリティ、拡張現実、建築や製造のプロジェクトなど、多岐にわたる用途で活用されます。


技術の進歩

スキャンから点群データへの変換プロセスは、技術の進歩によって継続的に改善されています。新しいスキャニング技術、より高速で正確なデータ処理アルゴリズム、そして大量の点群データを効率的に扱うための新しい方法が開発されています。これらの進歩は、スキャン技術の適用範囲を広げ、さまざまな分野での使用を促進しています。


点群はコンピュータデータ点の集合体、点の密度が高くなればなるほどに高精度のデータとなります。

3次元CADで利用するのは高精度データが必要のため専用のスキャナーで測定する。点群をCADに取り込んでもシミュ―レーションで見るだけのデータになり、点群のままでは各種の三次元処理には適さない。

CADでポリゴンメッシュに変換やサーフェスやソリッドのモデリングが必要になります。

点群のイメージ画像
点群データ

 

3、ポリゴンメッシュ作成

3Dポリゴンデータは、3次元空間における物体や形状を、頂点(ポイント)、エッジ(線)、および面(ポリゴン)を使用してモデリングする技術です。この技術は、コンピューターグラフィックス、ゲーム開発、仮想現実、映画制作、製品設計、建築設計など、多岐にわたる分野で利用されています。3Dポリゴンデータの主な特長。


詳細なビジュアライゼーション:

3Dポリゴンデータは、3次元空間において、物体やシーンを詳細に表現することができます。これにより、現実に近いビジュアルが作成可能になり、ユーザー体験が向上します。


柔軟なスケーリング:

モデルのサイズ変更が容易にできるため、さまざまな解像度やアプリケーションでの使用が可能です。小さなオブジェクトから大規模な環境まで、幅広く対応できます。


リアルタイムインタラクション:

ゲームやシミュレーションなど、リアルタイムでの3Dインタラクションを必要とするアプリケーションにおいて、3Dポリゴンデータは欠かせません。ユーザーの入力に応じて、即座に視覚的フィードバックを提供できます。


効率的なデータストレージ:

ポリゴンの数を調整することで、モデルの詳細レベルをコントロールできます。これにより、必要な詳細度に応じてデータの量を最適化し、ストレージ効率を向上させることができます。


広範な互換性:

多くの3Dモデリングソフトウェアやゲームエンジンで3Dポリゴンデータがサポートされているため、さまざまなツール間でのデータのやり取りが可能です。


複雑な形状のモデリング:

ポリゴンを使用することで、複雑な曲面や不規則な形状も表現できます。これは、自然界の物体や生物、ファンタジーのクリーチャーなど、リアルまたは想像上のあらゆる形状を作成する際に有利です。


3Dポリゴンデータのこれらの特長により、クリエイターやエンジニアはよりリアルで、インタラクティブな3D環境を作成できるようになり、エンターテイメントから産業用アプリケーションに至るまで、広範な用途でその価値が認められています。

ポリゴンメッシュは、複数の頂点を結ぶ直線の辺で構成する多面体
ポリゴンメッシュの種類

 

4、CADモデリング

ポリゴンデータからモデリング要素を抽出してCADモデリングを行う方法には、いくつかのステップがあります。このプロセスは、スキャンした3Dデータや既存のポリゴンモデルをCADソフトウェアで使用可能な形式に変換するために使用します。


ステップ 1: データの準備とインポート

データのクリーニング: ポリゴンデータは、スキャンから直接取得された場合、不要な要素やノイズを含むことがあります。最初に、メッシュラボ(MeshLab)やブレンダー(Blender)などのツールを使用して、データをクリーニングし、最適化します。

フォーマット変換: 多くのCADソフトウェアは、STLやOBJなどの特定のフォーマットでポリゴンデータを扱います。必要に応じて、データをCADソフトウェアが対応するフォーマットに変換します。

データのインポート: クリーニングとフォーマット変換が完了したら、CADソフトウェアにデータをインポートします。このステップでは、データのスケールや位置を調整することが重要です。


ステップ 2: モデリング要素の抽出

エッジと頂点の特定: CADソフトウェア内で、ポリゴンメッシュからエッジや頂点を特定し、重要な幾何学的特徴を識別します。

曲面の再構築: 曲面や形状が複雑な場合、ポリゴンデータから直接曲面を生成するために、曲面再構築ツールを使用することがあります。これにより、滑らかな曲面が作成され、CADでのさらなる編集が可能になります。

特徴線の抽出: モデルの重要な特徴線を抽出し、これを基にして新たなCADモデルを構築。


ステップ 3: CADモデリング

基本形状の作成: 抽出したモデリング要素を基にして、CADソフトウェア内で基本形状を作成します。これには、プリミティブ形状や既存のCAD要素を使用することが含まれます。

詳細の追加: 基本形状に対して、フィレット、押し出し、カットなどの操作を行い、モデルに詳細を追加。

アセンブリと制約の適用: 複数のパーツを組み合わせてアセンブリを作成し、適切な制約を適用して、パーツ間の関係を定義。


ステップ 4: レビューと修正

モデルの検証: 作成したCADモデルを検証し、実際の設計要件や機能性に合致しているか確認。

修正と最適化: 必要に応じてモデルを修正し、製造や実装に適した形に最敵化して完成。

リバースエンジニアリングCADモデリング

5、リバースCADモデル出力

CAD(Computer-Aided Design)データの互換性の問題は、様々なCADソフトウェア間でデータをやり取りする際に発生することがあります。これにはいくつかの共通の問題点があります。

ファイル形式の違い: 各CADソフトウェアは独自のファイル形式を使用しています。例えば、AutoCADはDWGとDXF、SolidWorksはSLDPRTとSLDASM、CATIAはCATPartとCATProductなどです。これらのファイル形式の違いは、データの互換性に大きな障害となり得ます。

データの細部の損失: 異なるCADソフトウェア間でファイルを変換する際、元のファイルの細かいディテールや属性が失われることがあります。これには寸法、注釈、メタデータなどが含まれることがあります。

ソフトウェアのバージョンの違い: 同じCADソフトウェアでも、異なるバージョン間でのファイルの互換性の問題が発生することがあります。新しいバージョンのソフトウェアで作成されたファイルが、古いバージョンのソフトウェアで正しく開けない場合があります。

特定の機能やカスタム要素の問題: 特定のソフトウェアでのみ利用可能な特別な機能やカスタム作成された要素は、他のCADシステムで正しく表示や利用ができない可能性があります。

これらの問題に対処するためには、以下のような解決策が考えられます。

標準化されたファイル形式の使用: STEPやIGESのような業界標準のファイル形式を使用して、異なるCADソフトウェア間での互換性を高めることができます。

データ変換ツールの利用: 特定のCADファイル形式を他の形式に変換するためのツールやサービスを利用することができます。ただし、このプロセスでデータの一部が失われる可能性があるため、注意が必要です。

バージョン管理: プロジェクトチーム内で使用するCADソフトウェアのバージョンを統一することで、バージョンによる互換性の問題を避けることができます。

CADデータの互換性の問題は複雑であり、場合によっては専門的な知識や技術が必要になることもあります。それでも、上記のようなアプローチによって問題を緩和することが可能です。


3次元CADの互換性問題
出力データ形式=IGES X_B X_T STEP、STL
IGES=中間ファイルのフォーマットと拡張子
Soled=データ処理間の架け橋を基本とする中間ファイル
STEP=主にサーフェスの受け渡しが得意な中間ファイル

 

3Dスキャンについて

3Dスキャン、ものづくりにおいてあらゆる状況で非常に役立つツールです。たとえば、以下のような場面で必要とされます

1,リバースエンジニアリング:
既存の物理的なオブジェクトをデジタルデータに変換して、その製品を理解し、再設計、あるいは改善するプロセスです。

2,品質管理と検査:
製造過程での部品や製品の寸法を正確に測定し、設計仕様に適合しているかを検証するため使用します。

3,デジタルアーカイブ:
芸術作品や文化遺産などデジタル化して保存する際に、3Dスキャンが用いられることがあります。

4,カスタマイズとパーソナライゼーション:
個人
の顧客に合わせた製品を製造する際、例えば義肢やインソールをスキャンして、完全にフィットするカスタムメイドの製品を作る際に利用されますます。

5,バーチャル(VR)と拡張現実(AR):
現実世界の物体や環境をデジタル化し、それをVRやARの環境に統合するために3Dスキャンが用いられます。

6,教育とトレーニング:
複雑な機械や器具を学生や新人に教えるために、3Dモデルを作成し、実際の物体を使わずにトレーニングを実施することができます。

7,デジタルプリカ:
構造の正確なデジタルプリカを作成することで、リノベーション等に支援できます。

これらは3Dスキャンがものづくりにおいて重要とされるいくつかの理由ですが、技術が進歩する継続、その応用範囲はさらに可能です。

デジタルアーカイブ

 

工業用3Dスキャナと測量用3Dスキャナの違い

工業用3Dスキャナと測量用3Dスキャナは、用途と性能におけるいくつかの違いを持っ​​ています。以下にその主な違いを示します。

1,用途:

工業用3Dスキャナ:これは主に製造、工学、デザイン、品質管理などの産業分野で使用されます。製品のデザイン、プロトタイピング、リバースエンジニアリング、または製品の寸法検査のために使用されることが多いです。

。測量用3Dスキャナ: これは土地測量、建築、歴史的保存、鉱業などの分野で使用されることが多いです。されます。

2,範囲と精度:

・工業用3Dスキャナ:これは通常、非常に高い解像度と精度を持っていますが、スキャン範囲は比較的狭い場合が多いです。

・測量用3Dスキャナ:大規模なエリアをスキャンする能力を持ちつつ、十分な解像度と精度を持っていますが、工業用スキャナのような非常に高い限界までの解像度は求められない場合が多いです。

3,機器のサイズと持ち運び可能性:

・工業用3Dスキャナ:小型で、ラボや製造現場などの固定された環境で使用することが一般的です。

・測量用3Dスキャナ:頻繁に大きくて安定した構造をしており、屋外での使用に適しています。

4,ソフトウェアと処理:

・工業用3Dスキャナ:CADツールや製品デザインツールとの互換性や統合が強化されています。

・測量用3Dスキャナ:地理情報システム(GIS)や土地測量ソフトウェアとの連携が主に行われています。

これらの違いを理解するため、特定のアプリケーションやプロジェクトの要件に最適な 3D スキャナを選択するのに役立ちます。

 

3Dスキャンから3D CADに変換する利点

3Dスキャンデータを3D CADデータに変換することにはいくつかの重要な理由があります。

1,詳細設計と改良: CADデータにより、3Dスキャンデータが詳細に設計され、改良されます。特に、製品や部品を改善するために必要な詳細な調整や改良を容易に行うことができます。

2,製造プロセスの最適化: 3D CADデータは、製造工程を計画、最適化、自動化するためのツールとして利用できます。工作機械へのプログラム入力や、3Dプリンターを使用したプロトタイピングなどが含まれる。

3,相互運用性と互換性: CADデータは、エンジニアリング、製造、建築、その他の多くの業界で広く利用されている標準的な形式です。CADに変換することで、さまざまなソフトウェアやハードウェアとの互換性と相互運用性を確保できる。

4,シミュレーションと解析: CADモデルは、物理的なパフォーマンスを予測するためのシミュレーションや解析に使用できます。これには、ストレステスト、流体力学解析、熱解析などが含まれます。

5,品質管理と検査: CADデータは、製造品の品質を検証し、設計と製造品が一致していることを確認するために使用。

以上のような理由から、3Dスキャンデータを3D CADデータに変換することは、多くの設計、製造、検査プロセスで必要となります。 

 

3Dスキャンの懸念点

工業用3Dスキャン技術は、製造、品質検査、リバースエンジニアリングなど多くの用途に役立ちますが、いくつかの点や懸念点があります。

1,高コスト: 高精度の 3D スキャナは非常に高価である、使用する頻度が少ない場合は費用対効果の問題。

2,複雑なセットアップ: 一部の 3D スキャン装置は、特定の環境条件や補正手順が必要とする場合があります。

3,スキャン時間:高精度スキャンの場合、データ収集には長い時間がかかります。

4,瞬間の中間: 透明、反射する、または猛烈に暗い素材は、スキャンが難しいまたは不可能な場合があります。

5,サイズ制限: 物体が非常に大きい、または非常に小さい場合、適切な洞察を見つけるのが難しい場合があります。

6,データ処理: スキャンした後、データは頻繁で、CADデータとして使用するには、熟練したCADオペレーターが必要になります。

<フィーチャーCADモデリング>
■基本的な幾何形状(プリミティブ)の組み合わせからなる形状は、ブーリアン演算等でソリッドでモデリングします。
基本的な幾何形状に分解できない複雑な自由形状は、サーフェスでモデリングでモデリング。
さまざまな形状をパラメトリックなCAD モデルとして設計。<全文


<ナーバスサーフェス>
■極めて滑らかな自由な曲線の生成の面です。
■複雑な形状ほど制御点が多くなりデータ量が増大し、CAD作業が円滑に進まない難点があります。
■ソフトウェアーで自動で線を計算し作成する場合と、ポリゴンの上にラインを引き一枚づつ張合わせ作成の方法2種類あります。
非接触光学式3次元デジタイタイザーで採取した点群データから生成されたポリゴンモデル上に自由曲面を数学的に表すには最適な
NURBSサーフェスのネットワークをフィットさせます。<全文

 

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