産業用ct 事例
産業用CT(Computed Tomography:工業用X線CT)は、非破壊検査・寸法測定・リバースエンジニアリングなどに使われる技術です。以下に代表的な「産業用CTの活用事例」をご紹介します。
🔧 1. 自動車部品の内部欠陥検査
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対象物:アルミ鋳造部品(例:エンジンブロック、トランスミッションケース)
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目的:巣穴(ブローホール)やクラックなどの内部欠陥の検出
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効果:不良品の早期発見・品質管理の向上
🔩 2. 樹脂部品の寸法測定・内部構造分析
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対象物:コネクタ、電子制御ユニット(ECU)の筐体など
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目的:金型の微調整、組み込み状態の確認、リバースエンジニアリング
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効果:試作段階での品質改善・迅速な開発サイクル
🧬 3. 医療機器部品の高精度検査
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対象物:インプラント、注射器、カテーテル部品など
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目的:微小欠陥や寸法異常の検出
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効果:安全性・信頼性の向上、規格適合性の保証
🛩 4. 航空機部品の構造解析
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対象物:チタン合金製部品、複合材(CFRP)
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目的:接着部の状態、層間剥離の有無の確認
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効果:軽量化設計と強度保持の両立、事故リスクの低減
🏭 5. 鋳造品や焼結部品の材料内部解析
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対象物:粉末冶金部品、金属3Dプリント品
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目的:密度分布、内部空隙の可視化
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効果:製造プロセスの最適化、品質向上
📐 6. 製品のCADとの比較(寸法検査)
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対象物:試作部品、最終製品
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目的:CADデータとの誤差比較
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効果:公差管理、金型修正支援
📦 7. パッケージ製品の検査
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対象物:食品容器、医薬品包装
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目的:異物混入検査、密封性チェック
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効果:クレーム・リコールのリスク低減
💡補足:活用される業界
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自動車
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航空宇宙
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医療機器
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電子機器
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金属加工
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食品・医薬品 など
🔄 産業用CTを使ったリバースエンジニアリングとは?
産業用CTスキャンにより、製品や部品の内部構造を非破壊で3Dデータ化できます。このデータをもとに、CAD化や構造解析、再設計(再製造)を行うのが「リバースエンジニアリング」です。
✅ 活用例とメリット
🧩 1. 内部構造の完全取得(非破壊)
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通常の3Dスキャナでは取得できない、内部空洞・配線・溶接部まで取得可能。
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例:電子機器・コネクタ・複雑な鋳造部品
🛠 2. 再設計・図面化
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スキャンデータ → ポリゴン → CAD(STL→STEP)化により、図面がない製品も再製造可能
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例:廃版部品や海外製のノンカタログ品の復元
🏭 3. 金型製作や補修に活用
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CTで内部を完全解析 → CAD化 → CAMで金型製作
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精度高くリバース可能、寸法誤差も可視化できる
⚙ 4. アセンブリ全体の解析
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組み立てられた状態でスキャンできるため、隠れた干渉やズレも発見可能
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例:ギアユニットやインジェクションモールドの内部評価
📊 リバースエンジニアリングの流れ(CT利用)
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CTスキャン(X線で断層データ取得)
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ボリュームデータ生成(ボクセルデータ)
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3Dポリゴンメッシュ出力(STL形式など)
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形状修正・再構築(メッシュ編集 or サーフェスモデリング)
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CADデータ化(STEP, IGES等)
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CAE解析・金型設計・CAM出力等へ展開
💡 利用が多い業界と製品
業界 | 例 |
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自動車 | ピストン、噴射ノズル、センサ |
医療 | 人工関節、注射器、歯科器具 |
電子機器 | スマートフォン、モジュール部品 |
航空宇宙 | タービンブレード、複合材構造 |
産業機械 | 油圧部品、鋳造ケース |
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