1. 点群データの性質
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スキャナから得られるのは 点群(Point Cloud) であり、物体表面を多数の点で近似したもの。
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点群は寸法情報や位相関係が曖昧で、穴や平面のような設計上の「意味づけ」を持たない。
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ノイズ・欠測領域(オクルージョン)が含まれるため、直接CADや解析に使えない。
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2. ポリゴンメッシュの課題
・点群をポリゴン化すると 三角形メッシュ になるが:
・平面や円筒面が「分割ポリゴンの集合」として表現される。
・設計変更や寸法公差管理に不向き。
・ポリゴン数が増えるとデータが膨大になり、処理が重くなる。
| 複数頂点結ぶ直線の辺で構成する多面体 |
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3. CADデータへの変換困難
・設計や加工に利用できるのは NURBS面やソリッドモデル。
・スキャンデータは幾何学的特徴(円、フィレット、穴位置など)を持たないため、CAD化(リバースエンジニアリング) が必要。
・自動フィッティング機能を持つソフトもあるが、完全自動化は難しく、手作業でのモデリング修正が不可欠。
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4. 公差・精度問題
・スキャナの分解能・環境条件(反射、影、温度変化など)により、
真値との誤差(精度問題) が避けられない。
・機械加工の基準寸法やJIS公差とは直接リンクしないため、
測定結果をそのまま加工指示に使うのは危険。
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5. 実務的な解決アプローチ
・点群処理:ノイズ除去、穴埋め、スムージング。
・ポリゴン編集:不要なメッシュ削除、データ軽量化。
・フィーチャー抽出:円筒、平面、フィレットなどをCAD上で再構築。
・ハイブリッド手法:スキャンデータをリファレンスとして活用しつつ、設計意図に基づいたCADモデリングを行う。
・トレーサビリティ確保:PL法対応のため、スキャンデータとCADデータを紐づけて管理。
「3Dスキャンデータ」は 実測のコピーに近いが、設計・製造に直結する“意味づけ情報”が欠けているため、そのままでは使えないのです。
CADモデリング参考例
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