医療器具部品現物のCAD化

医療器具部品の開発に3dスキャンを利用
医療器具部品の開発に利用
■最先端の技術導入製剤生産用機械の部品、 薬の梱包機械の部品、 薬の計数測定用
■治具部品、 生産装置の安全カバー、人工関節及び人工骨などの医療関係の部品開発等に利用。
■医療機器部品、分析器部品、医療用容器、人工関節、人工骨、介護装備、理学診療用、リハビリ機器、健康関連機器、オーダーメイド
■介護分野におけるテクノロジー活用やものづくりと医療機関等との医工連携により、医療ニーズに応える医療機器の開発と実用化に向け推進されています。オールジャパンの医療機器開発プロジェクトなどにリバースエンジニアリング技術の利用。

医療器具部品の開発プロセスは、通常、以下のような段階を含みます。これらの段階は、医療機器の複雑さ、規模、および使用される規制の要件に応じて異なる場合がありますが、一般的なフレームワークは以下の通りです。

1. アイデアの創出と概念設計

  • 市場調査とニーズ分析を行い、製品のアイデアを創出します。
  • 潜在的な解決策の概念設計を行い、技術的実現可能性を評価します。

2. 要件の定義

  • 製品要件文書(PRD)を作成し、技術的、機能的、規制上の要件を明確に定義します。

3. 詳細設計

  • 概念設計を基に、製品の詳細な設計を進めます。これには、CADモデルの作成、材料選定、製造方法の選定などが含まれます。

4. プロトタイプ製作と試験

  • 詳細設計に基づいてプロトタイプを製作し、初期の性能試験を行います。
  • 必要に応じてデザインの反復を行いながら、プロトタイプの改善を続けます。

5. 規制遵守と文書化

  • 製品が規制基準を満たしていることを確認し、必要な承認や証明を取得します。
  • 開発プロセス全体で作成した文書を整理し、規制当局への提出準備を行います。

6. 製造準備

  • 大量製造に向けて、製造プロセスを最適化します。
  • 製造装置や組立工程の設計、試運転を行います。

7. 市場導入

  • 製品のマーケティング戦略を立案し、販売チャネルを確立します。
  • 初期の市場フィードバックを収集し、製品の改良に活かします。

8. ポストマーケット監視

  • 製品の安全性と有効性を継続的に監視し、必要に応じて改善策を実施します。
  • 市場での長期的な成功を確保するために、顧客からのフィードバックを積極的に収集し、製品のアップデートを行います。

医療器具部品の開発においては、規制遵守が特に重要です。製品が患者の安全と健康に直接影響を与える可能性があるため、国や地域によって異なる規制基準を満たす必要があります。また、革新的な技術や材料を用いる場合、新たな課題が生じることもありますので、初期段階から規制専門家と協力することが推奨されます。


全体像:なぜ医療器具でリバースが使われるのか

医療分野では、次の理由で 3Dスキャン+リバースエンジニアリング が活躍します。

  • 図面・CADが残っていない旧型医療機器

  • 海外製・廃番部品の再製作

  • 摩耗・変形した器具の設計意図を読み取った再設計

  • 樹脂部品の金型更新・国内回帰

ただし、「スキャンした形をそのままCAD化」は医療ではほぼNG です。

① 3Dスキャン(目的別に方式を選ぶ)

対象 推奨スキャン
金属・外形 構造化光 / レーザー
内部構造 工業用CT
微細形状 高精度光学スキャン

医療特有の注意

  • マットスプレーは医療用対応品のみ

  • 滅菌・洗浄後の再使用可否を確認


② 点群 → メッシュ処理(形状を「整える」工程)

  • ノイズ除去(滅菌痕・反射ムラ)

  • エッジの意味付け(刃先・接触部)

  • 面の簡略化(※やりすぎるとNG)

👉 この段階で「設計意図」を読み取るのが最重要


③ 設計用CAD再構築(ここが肝)

NG

  • メッシュをそのままNURBS化

  • スキャン誤差=設計寸法

OK

  • 機能基準面の再定義

  • 寸法・公差の再設計

  • 滅菌・洗浄を考慮したR付け


④ 医療向け検証(工業品にはない工程)

  • 生体接触部の表面粗さ(Ra)

  • 洗浄性(液だまり・隙間)

  • 滅菌後の変形・劣化


医療器具リバースで特に重要な3ポイント

① 「寸法をコピーしない」

  • 摩耗=設計値ではない

  • 安全側寸法への再定義が必須

② 「表面品質は形状の一部」

  • Ra 0.8 → OK

  • Ra 1.6 → 感染リスク増
    👉 形状+表面は不可分

③ 「材料は“同等”ではダメ」

  • SUS304 ≠ 医療用SUS316L

  • 樹脂は医療グレード指定必須


工業用リバースとの決定的な違い

項目 工業部品 医療器具部品
目的 機能再現 安全+再現
摩耗 形状として採用 排除対象
公差 現物基準 再設計
表面 二次要素 最重要
規制 極めて厳しい

規制・品質(避けて通れない)

  • ISO 13485
    → リバース工程もQMS管理対象

  • ISO 10993
    → 材料変更時は再評価が必要

※「リバース=自由に再現」ではありません


よくある失敗例(実務)

  • 海外品をそのままコピー → 薬機法NG

  • 摩耗形状を再現 → 耐久・安全NG

  • 表面粗さ未管理 → 感染リスク


製造プロセスの特徴

金属部品

  • 精密CNC加工

  • 電解研磨(バリ・微粒子除去)

  • 表面パッシベーション

樹脂部品

  • クリーンルーム射出成形

  • 成形後の全数外観検査

  • パーティクル管理


規格・法規制(超重要)

国際規格

  • ISO 13485
    医療機器の品質マネジメントシステム

  • ISO 10993
    生体適合性評価

日本

  • 医薬品医療機器等法(旧 薬事法)

  • QMS省令

海外

  • FDA(米国)

  • CEマーキング(EU)


一般工業部品との違い(重要比較)

項目 一般工業部品 医療器具部品
材料 汎用材料OK 医療用グレード限定
公差 機能重視 安全性・再現性最優先
製造環境 通常工場 クリーンルーム
トレーサビリティ 任意 必須(材料〜製品)
規制 少ない 非常に厳しい

実務でよくある注意点

  • 「同じ材質名」でも医療用グレード指定が必須

  • 表面粗さ(Ra値)が安全性・感染リスクに直結

  • リバースエンジニアリング時は知財+薬機法の両立が必須

安全性・トレーサビリティ重要 製品のアイデアを創出 リバースエンジニアリング
安全性・トレーサビリティ重要