リバースエンジニアリングCADモデリング

リバースエンジニアリングのCADモデリングは、既存の物理オブジェクトをデジタルモデルに再構築するプロセスです。このプロセスは、新しい設計や製造のために既存の製品の形状、寸法、機能を理解し、再現するために使用されます。以下に、リバースエンジニアリングのCADモデリングの基本的なステップの説明。

1. データ収集

まず、物理オブジェクトの形状や寸法を取得します。一般的な方法には以下のようなものがあります。

  • 3Dスキャニング: レーザースキャナーや光学スキャナーを使用して、物体の表面を詳細にキャプチャします。
  • 写真測量: 複数の写真を撮影し、特定のアルゴリズムを用いて3Dモデルを生成します。
  • 手動測定: マイクロメータやキャリパーなどの測定工具を使用して寸法を取得します。

光学式:光を利用して物体を非接触で3D形状データ化する技術。

レーザー式:レーザー光を照射し、反射した光を受信することで、対象物の形状を計測。

CT式:X線を撮像物に照射し、透過したX線の量を計測して断層画像を取得しコンピューターにて立体画像を生成します。

反射光歪測定 反射戻る時間 X線透過強さ

取得したデータは、点群データやメッシュデータとしてコンピュータに取り込みます。このデータはノイズ除去やスムージングなどの処理を経て、CADソフトウェアで利用可能な形式に変換されます。

点群編集 ポリゴン編集 CAD編集

3. CADモデリング

処理されたデータを基に、CADソフトウェア(例:SolidWorks、AutoCAD、Fusion 360)を使用して3Dモデルを作成します。

  • スケッチ: 2Dの輪郭を描きます。
  • 押し出し・回転: スケッチを3D形状に変換します。
  • 拘束条件: モデルの正確な寸法や形状を維持するための拘束条件を設定します。
  • アセンブリ: 複数の部品を組み合わせてアセンブリを作成します。
ライン抽出 面生成 モデリング

4. 検証と修正

完成した3Dモデルは、元の物理オブジェクトと比較して精度を確認します。必要に応じて修正を行い、最終的なモデルを完成させます。

インスペクション

利用分野

リバースエンジニアリングのCADモデリングは、以下のような分野で広く利用されています。

  • 製造業: 既存製品の改良、新製品の開発。
  • 医療: カスタム医療機器やインプラントの設計。
  • 自動車: 旧車の部品再製作。
  • 考古学: 遺物のデジタル復元。
既存製品改良 旧部品再製作 遺物デジタル化

メリット

  • 時間とコストの削減: 既存の物体を基に設計するため、設計時間とコストを大幅に削減できます。
  • 精度の向上: 高精度な3Dスキャニング技術を使用することで、非常に正確なモデルが作成可能です。
設計コストの削減 スキャニング技術 リバースエンジニアリング技術

リバースエンジニアリングのCADモデリングは、技術の進歩により、ますます重要な役割を果たしています。このプロセスを理解し、活用することで、製造や設計の効率を大幅に向上させることができます。

リバースエンジニアリングのCADモデリングのプロセスを示すイメージ画像です。物理オブジェクトを3Dスキャンし、ポイントクラウドやメッシュデータとしてコンピュータに取り込み、CADソフトウェアで3Dモデルを作成している様子が描かれています。


 

リバーエンジニアリングのモデリング方法

<フィレット>

角の部分を丸めるフィレット加工、ポリゴンメッシュからラインを抽出しサーフェイスメッシュを作成、2個の面を延長し交差するところでエッジをつくり、そのエッジ部分を円弧で丸めてフィレットを作成。入り込んだ連続的なフィレットや途中から形状が変わる徐変フィレットなどCADモデリングで作成します。

ポリゴンの場合、丸み部分も三角メッシュのため滑らかさはなく拡大すると凸凹です、金型製作などには不向きのためCADモデリングが必要になります。モデリングのフィレットは数値化した円弧になります。ポリゴンからオートサーフェスで作成したメッシュは稜線が不明のためポリゴンデータから特徴線等を抽出してモデリングします。

リバースモデリングフィレット

<円弧、円>
ポリゴンメッシュからライン抽出、そのラインから幾何学的に正しい真円を作成します。数値入力で円の径を変更すことが可能です。円弧は真の一部で作成する。つくることができない円は与えられた複数の制御点とノットベクトルから定義される滑らかなサーフェス(B-スプライン曲線)で作成します。

ポリゴンには円弧や円の数値的要素がないためデータを修正するにはCADモデリングが必要です。3Dプリンタでワークを作る場合でも、モデリングからポリゴンデータに変換方法が完全なワークができます。3次元CADモデリングされた円や円弧はサイズ等の変更ができます。成形収縮率、金型寸法、成形品寸法から成形条件に応じて変更が可能になります。

リバースモデリング円弧、円

<平面>
ポリゴンメッシュデータから平面上の二直線を抽出したラインを利用し、直線と平面、平面と平面とが、どこまで延長しても交わらな平面をつくります。型製作で切削や研削において大変重要な要素となっている均一性を示す数値の平面度、平面形体の幾何学的に正しい平面が必要とされています。

ポリゴンは多面体オブジェクトの形状を定義する頂点、辺、面の集合体の三角メッシュためデータの容量は多くなります。モデリングは2点で構成されている真面平面ため容量が少ない。スキャンデータの平面は高さ方向にばらつきがあるため、CADモデリングの平面はスキャンデータの平均化されたメッシュで作成します。

リバースモデリング平面

<押し出し面>
ラインで外形をつくり、ラインをオブジェクトの平面から直交方向に、指定した方向に、または選択したパスに沿って押し出します。ラインで外形をつくり、ラインをオブジェクトの平面から直交方向に、指定した方向に選択したパスに沿って押し出します。型のテーパ合わせ面に抜き勾配をつけることができます。


<回転面>
ラインで外形をつくり、ラインをオブジェクトの平面から直交方向に、指定した方向に、または選択したパスに沿って押し出します。ラインで外形をつくり、ラインをオブジェクトの平面から直交方向に、指定した方向に選択したパスに沿って押し出します。型のテーパ合わせ面に抜き勾配をつけることができます。


<延長、トリム>
CADモデリング操作においてオブジェクトの角出しや稜線出しのためCAD面境界エッジまでオブジェクトを延長して面の交差でトリムします。曲率がある面も面の性格が良ければ綺麗に伸ばせますが、ポリゴンからの面は、曲率の性格が悪い面になる場合が多い、長く伸ばすと自己交差したりして使い物になりません。そのため面の修正が必要になります。 性格の良いラインを引き直し面のつくり直しを繰り返し作成します。


<ボス、リブ>
成形品の組合わせや、他部品を締結する際に使用するボスは垂直などの精度が必要、ひけ、ボイドの発生や応力集中を起こしやすいため、変形を考慮した設計になっている。またパーツの取り出しを容易にするために抜き勾配を設ける必要があります。生産性や設計強度を維持しつつ外観も美しく仕上げられます。ポリゴンでのボスはオブジェクト成型時の変形などもそのまま取り込んだいるため平面に対して垂直、水平など修正が必要になります。ポリゴンデータからCADモデリングすることで修正が可能になります。


リバースエンジニアリングCADモデリング事例

<精密部品>
電装部品成形、弱電部品、携帯電話、デジタルカメラ、精密機械、工業用精密部品などの高精度プラスチック精密製品のものつくり。工業精密プラスチック成形部品は、抜き勾配をつける、肉厚の均一、収縮と製造偏差の影響を考慮されている。繊細な部品はX線CTスキャンが利用されています。CTで精度あるデータを採取できてもポリゴン生成などの後行程で精度が落ちるため、CADモデリングが必要になります。3Dプリンタなどでつくられた試作品を量産の型製作用データ作成にリバースエンジニアリングを利用されます。

<機構部品>
回転運動を往復運動に変換、部品同士をつないだり機構が動く仕組みなど機械に備わっている働きや目的の機械要素の機構部品。機械要素の組み合わせにおいて部品同士バランスに考察して無理が生じないように注意を払われている。類似設計で過去の部品や市販部品等リバースエンジニアリング利用の例があります。

<自由曲面>
自由曲面は複数の制御点と実際数の複数個の数値の組合わせから定義される滑らかなB-スプライン曲線でつくられたナーブスサーフェスを利用されています。滑らかに変化する曲線からできる面はデザインモデルや意匠的な製品に適しています。ナーブス面は自動面で、機構部分はCADモデリングで作成します。

精密部品解析用CADデータ 設計へのフィードバック 自由曲面部品のCAD化

 

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