米国の高関税政策の状況での供給網の再編のはじまり

ホンダ、供給網の再編
2025年3月中旬、ホンダが2025年度から米国内のトヨタの工場から、
HVハイブリッド車搭載向けの車載電池を調達することが報じられました。
およそ40万台分のハイブリッド車用電池を米国内で確保する模様です。
ホンダは従来まではHV向けの車載電池を米国外で生産して調達していました。
2025年4月から10倍超に跳ね上がると見られている米国の自動車(乗用車)への関税に対応したものと思われます。

なお、さらには2025年4月2日からは日本から米国に輸出するトラック(貨物自動車)製品には
従来の25%からさらに追加で25%の関税が課されることとなるようです。
米国が日本から輸入するトラックへの関税率は50%に跳ね上がることになります。

米国内では新車販売に占めるHVハイブリッド車の割合は2030年に4分の1になると予測されています。
日産などはバッテリーEVに注力していたために米国内でのハイブリッド需要への対応が甘くなっていたと指摘されています。
ホンダは次世代のクルマの開発にソニーとも組むなどEVを見据えた開発に手を打っています。
トヨタ自動車は全方位戦略でクルマの開発に取り組んでいます。

次世代の自動車開発に向けた設備投資などの負担増で、
クルマメーカーもトランプ大統領の指示のもとでEV製造優遇策の撤廃や関税の引き上げ政策の影響を受けていくことになるようです。
トランプ大統領は貿易の不公平への対応策として関税を大胆にかけていく意向です。
他にもトランプ大統領は化石燃料の採掘を掘りまくれと発言しています。
日本政府としては、米国産の化石燃料の調達ができるメリットがある一方で、
年間100万台以上の自動車製品を日本から米国に輸出しており、
日本の自動車メーカーはトランプ大統領の関税政策の影響を受けると目されています。

ものづくり・製造企業は、産業・市場の競争と同時に、各国・地域の貿易政策に注意した対応を迫られていくことになりそうです。
ものづくり自体はアジア地域が根強さを発揮していくと思われますが、
今後も先端技術製品の設計や開発、ソフトウェア・サービス開発などで米国企業が強いリーダーシップを発揮していくと見られます。
ITサービス分野では米大手企業の規模と質が底堅い面があると考えられます。
日本としては半導体関連技術や素材、自動車の製造・販売が経済の生命線でもあると考えられます。
米国の政策の大転換の環境下で日本企業は日本の良さと米国の良さを引き出すかたちで、
供給網の大きな再編への対応策を捻り出していく必要があるのではないかと考えられます。