「3Dスキャニング」は、物体や空間の形状をデジタルで取得し、3次元データ(3Dモデル)として再現する技術です。様々な分野で活用されています。以下、基本概要と代表的な方式、活用事例を紹介します。
🧭 基本概要
3Dスキャニング(3D Scanning)、対象物の表面形状をセンサーやカメラなどを使って取得し、その形をデジタルデータとして記録・再現する技術です。得られた3Dデータは、CAD、CG、3Dプリント、検査などに利用されます。
🔍 主なスキャニング方式
方式 | 特徴 | 用途例 |
---|---|---|
レーザー三角測量方式 | レーザーとカメラの角度から立体形状を取得 | 精密な工業部品、建築物 |
構造光方式 | パターンを投影して変形を撮影、3D化 | 工業製品 |
フォトグラメトリ(写真測量) | 多数の写真から3D形状を推定 | 遺跡、ゲーム資産制作 |
🧠 活用例
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製造業:部品のリバースエンジニアリングや品質検査
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医療:義歯・義肢、
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文化財保護:遺跡や仏像の3D保存
💡3Dスキャン導入のポイント
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精度と対象サイズのバランスが重要
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**使用目的(プリント?検査?表示?)**に応じて選定
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**データ後処理(メッシュ編集、リトポロジーなど)**も必要
用途別に3Dスキャニングのワークフローは大きく異なります。以下に、代表的な4つの用途に応じたワークフローを具体的に紹介します。
① 🎯 リバースエンジニアリング(工業部品の再設計)
✅ 目的
既存部品の3Dモデルを取得し、CAD化・再設計・製造に活用。
🔄 ワークフロー
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スキャン準備
・部品の表面をマットスプレーで処理(光沢防止)
・回転台やマーカーを設置(必要に応じて) -
3Dスキャニング(高精度スキャナ使用:構造光/レーザー)
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メッシュ編集
・ノイズ除去、穴埋め、メッシュの簡略化 -
CAD変換
・STL→NURBS化(Geomagic Design X / Fusion 360 など) -
再設計・解析
・CAD編集やCAEによる応力解析など -
再製造・出図(CAM、3Dプリント、CNC加工)
② 🏛 文化財・遺跡のデジタル保存
✅ 目的
重要文化財や遺跡を非接触で記録し、保存・展示・修復計画に活用。
🔄 ワークフロー
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現地撮影またはスキャニング
・ハンディ式レーザースキャナ -
メッシュ生成・テクスチャ生成
・高解像度のメッシュと高精細なテクスチャを合成 -
修復用途への展開
・欠損部分のデジタル修復、展示
③ 🦷 医療用途(義歯、義足、など)
✅ 目的
人体の形状を高精度かつ非接触で取得し、個別最適化された医療器具を作成。
🔄 ワークフロー
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3Dスキャニング(構造光スキャナ or CTスキャン)
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メッシュ処理
・不要部分のカット、形状のスムージング -
CAD設計
・スキャン形状を元に義歯・装具などをデザイン -
3Dプリント or CNC加工
・バイオ互換素材で製造 -
フィッティング確認と微調整
🎯 ワークフロー選定のポイント
用途 | 重視する要素 | 推奨スキャン方式 |
---|---|---|
製造 | 精度、寸法公差 | レーザー、CTスキャン |
文化財 | 非破壊、高精細 | CTスキャン |
医療 | 生体適合性、安全性 | CTスキャン |
STL | ポリゴン管理 | 光造形など |
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