機械保守部品

機械保守部品とは、機械や設備を正常に動作させるために、定期点検や故障時の修理・交換に用いられる部品
役割は大きく分けて次のようになります。


1. 機能維持の役割

  • 摩耗・劣化する部品を定期的に交換することで、機械の性能や精度を維持します。

  • 例:ベアリング、ベルト、シール、フィルターなど。


2. 故障予防の役割

  • 消耗部品を適切に交換することで、突発的な故障やライン停止を防止します。

  • 例:オイルシールの早期交換 → オイル漏れ防止 → モーター故障防止。


3. 生産性確保の役割

  • 必要な保守部品を常備・管理することで、ダウンタイムを最小化し、生産を止めない。

  • 特に大量生産の工場や、24時間稼働ラインでは非常に重要。


4. 安全性確保の役割

  • 劣化した部品を放置すると事故や破損につながるため、作業者の安全確保にも直結。

  • 例:ブレーキライニング、非常停止系のセンサー。


5. コスト最適化の役割

  • 計画的な交換(予防保全)により、故障修理や生産停止による損失を回避し、トータルコストを削減。


🔍 例を挙げると…

  • ポンプ → メカニカルシール、ベアリング

  • 産業用ロボット → 減速機のオイル、エンコーダ部品

  • CNC工作機械 → ボールねじ、リニアガイド、スピンドルベアリング


機械保守部品の種類

保守部品は、役割や交換頻度によっていくつかの分類があります。


1. 消耗品(Wear Parts)

  • 使用するたびに摩耗・劣化する部品。

  • 特徴:短い周期で交換が必要。

    • シール・ガスケット(圧力・流体の漏れ防止)

    • Oリング(配管・油圧装置で使用)

    • ベルト・チェーン(駆動伝達用)

    • オイル・フィルター(潤滑や異物除去)


2. 定期交換部品(Periodic Replacement Parts)

  • 耐用年数や稼働時間で寿命が決まっている部品。

  • 特徴:予防保全の対象。

    • ベアリング(回転部品の支持)

    • リニアガイド・ボールねじ(精密位置決め用)

    • 潤滑オイル(減速機、スピンドル)


3. 故障予備品(Spare Parts for Breakdown)

  • 破損・故障時にすぐ交換できるように備える部品。

  • 特徴:在庫コストは高いが、ライン停止リスク回避のために重要。

    • モーター、サーボアンプ(駆動系)

    • センサー類(位置・温度・圧力)

    • コントローラ(PLCなど)


4. 長寿命部品(Long Life Components)

  • 耐用年数が長いが、万一のために在庫を持つ場合もある。

    • 鋳造フレーム部品

    • ギア・シャフト



保守部品の管理方法


1. 在庫管理(ストック)

  • ABC分析で重要度を評価:

    • A:高価・重要 → 予備1~2個

    • B:中価格・中重要度 → 定期在庫

    • C:安価・大量消耗 → 常備在庫

  • IoTやERPで自動発注を実現する企業も増加中。


2. 寿命管理

  • ランタイム(稼働時間)やサイクル数で交換計画を立てる。

  • センサーやIoTによる状態監視(温度、振動)で予知保全(Predictive Maintenance)も普及。


3. トレーサビリティ

  • どの機械にどの部品をいつ交換したかを履歴管理。

  • QRコードやRFIDを利用するケースもある。


4. 調達戦略

  • 純正部品 vs 汎用品の選択。

  • 最近は3Dプリンタでオンデマンド製造という新しい流れもあります。