3Dスキャン

3Dスキャンの製造業での利用はここ数年で大きく進展しています。以下に、現状の主な活用分野・目的・技術動向を整理します。


1. 活用分野

(1) リバースエンジニアリング

  • 廃盤部品や図面のない部品をスキャンし、CADデータ化。

  • 古い機械や金型の再製作で特に重要。

(2) 品質検査・寸法測定

  • 非接触で高精度の寸法検査が可能。

  • 金属加工品、鋳造品、射出成形品などで採用。

  • CADデータとスキャンデータの差分比較で公差チェック。

(3) 金型・治具設計

  • 試作品をスキャンして金型設計に反映。

  • 治具や補助部品を現物基準で設計。

(4) 製品設計・カスタマイズ

  • 人体や部品をスキャンし、フィット感や個別対応製品を設計。

  • 医療機器や自動車シートのカスタマイズに応用。

(5) AM(Additive Manufacturing)との連携

  • 3Dプリント用データ作成に活用。

  • スキャン → モデリング → 3Dプリントの流れが一般化。


2. 技術的な現状

  • 精度:産業用スキャナーで±0.02mmレベル、ハイエンドは±0.005mm程度。

  • スキャン方式

    • レーザー式(精度が高い、金属部品向け)

    • 構造化光式(スピード重視、樹脂製品や大型部品向け)

  • データ形式:STL、OBJ、PLY、STEPなど。CADとの互換性重視。

  • AI活用:スキャン後のノイズ除去、欠損補完、メッシュ自動修正が進化。


3. 導入の現状

  • 自動車業界:試作部品の測定、金型検査で標準ツール化。

  • 航空・宇宙:高精度部品の検査、古い図面なし部品の再現。

  • 中小製造業:まだ導入コスト(数百万円~)がネックだが、ハンディタイプやサブスク利用が増加。

  • 国内トレンド:3Dスキャン+CAD+CAM+3Dプリンタを組み合わせた「デジタルツイン製造」が進展中。


4. 課題

  • データ処理負荷:高精度スキャンはデータ容量が大きく、PCスペックが必要。

  • エッジ部の精度:光沢や透明部品のスキャンは難易度高。

  • 人材不足:スキャン後のデータ編集スキルが不足。


5. 今後の方向性

  • スマホ+AIによる簡易3Dスキャンの進化。

  • クラウド連携によるデータ共有と解析の高速化。

  • 製造DXの一環として「3Dスキャン+AI+ロボット」統合。

 

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