アルミダイカスト現物のCAD化

 

アルミダイカストの事例

ダイカスト金型で型打ち鍛造した機械部品の現物の測定データ作成。
ダイカスト金型で型打ち鍛造した機械部品の現物の測定データ作成。
自動車部品、産業機械部品、航空機器部品、ロボット機器加工部品、高圧ポンプ機器部品、内燃機器ハウジング、建設機械稼働部品、農機具先端部品、ガス給湯器部品、電機器機先端工具、等の鍛造部品の例もあります。
アルミダイカストについて

アルミダイカスト(Aluminum Die Casting)とは、アルミニウム合金を高圧で金型に射出して成形する鋳造法の一つで、精密な寸法と滑らかな表面を持つ部品を大量生産するのに適したプロセスです。以下に詳しく説明します。


🧩 基本原理

アルミダイカストは「高圧鋳造法」の一種です。溶融したアルミ合金を**高圧(数十〜百MPa)**で鋼製金型に射出し、急速に冷却・凝固させて部品を成形します。
このとき、金型の温度・射出速度・圧力などが精密に制御されます。


⚙️ 特徴

項目 内容
精度 寸法精度が高く(±0.05mm程度)、機械加工を最小限にできる
表面性状 滑らかで美しい表面(Ra 1〜3µm)
生産性 サイクルタイムが短く、大量生産に適する
肉厚 比較的薄肉(1〜3mm)でも均一に成形可能
材料利用率 余分な削りが少なく、高い材料利用効率

🧪 使用される代表的なアルミ合金

合金記号(JIS) 主成分 特徴
ADC12 Al-Si-Cu 最も一般的。鋳造性・強度・耐食性のバランスが良い
ADC6 Al-Mg-Si 高靭性・耐食性に優れるが、鋳造性や溶湯管理が難しい
ADC10 Al-Si-Cu 鋳造性と機械的特性のバランス型
ADC1 高純度Al 電気特性・延性が高いが強度が低い

🏭 製造プロセス

  1. 溶解・保持:アルミインゴットを溶かし、適温(約680〜720℃)に保持

  2. 射出:溶湯を金型キャビティに高速・高圧で注入

  3. 冷却・凝固:金型内で急冷し、固化

  4. 離型:金型を開き、成形品を取出す

  5. トリミング・仕上げ:湯口・バリを除去し、必要に応じて加工や表面処理を行う


🧰 金型構造

金型は高精度なSKD61などの熱間工具鋼で作られ、

  • 固定側(キャビティ側)

  • 可動側(コア側)

  • スライドコアやピン

  • 冷却水路・ベント
    などの構造を持ちます。


🧱 応用分野

  • 自動車部品(エンジンケース、トランスミッションハウジング、ホイール)

  • 電子機器(ヒートシンク、ハウジング)

  • モータ・ポンプ部品

  • 建材・照明器具・機械構造体


🧭 長所と短所

長所

  • 高精度・高強度・量産性に優れる

  • 薄肉・複雑形状の一体成形が可能

  • 寸法の再現性が高い

短所

  • 初期コスト(金型費用)が高い

  • 厚肉や大型品には不向き

  • 気泡・ピンホールなどの欠陥が発生しやすい(真空ダイカストで改善)


🌍 最近の技術動向

  • 真空ダイカスト(Vacuum Die Casting):金型内を減圧してガス欠陥を低減

  • スクイズダイカスト(Squeeze Casting):凝固時に加圧し、鍛造並みの強度を実現

  • セミソリッドキャスティング(Thixoforming):半溶融状態で射出、組織均一化

  • リサイクルアルミ使用の低炭素化:カーボンニュートラル対応