再考を迫られる米国を震源地としたものづくりの供給網について考える

2025年5月、トヨタが2025年度業績見通しを発表
2025年5月8日、トヨタ自動車は2025年度の業績見通しを発表しました。
営業収益は2024年度より1%増えて48兆5000億円の見込みでしてが、
営業利益は20.8%減の3兆8000億円、
最終的な利益が34.9%減の3兆1000億円の見込みであるそうです。
この見通しは円高や関税の影響を織り込んだものであるといいます。
他方で、米国自動車メーカーのフォードが2025年5月、メキシコで生産する自動車製品の価格を値上げすることが報じられました。
トランプ関税の影響を受けるメーカーが米国内の自動車販売製品の値上げをするのか
今後も慎重に注視していく必要があります。

さらには、トランプ大統領は米国外で生産された自動車の運搬船に、
米国内の港に入港する際の入港料を新たに徴収する方針を表明しています。
船舶の本格的な製造にかかる期間は3年半以上、4年間ほどかかると言われています。
米国外で生産された運搬船に入港料を課したとしても、
本当に米国内で運搬船製造が再興されることはできるのかという懐疑的な意見も見られます。

米国外から輸入される自動車の完成品と自動車部品にはすでに25%の追加関税が発動しています。
一部免除になっている国や地域もありますが、
日本で生産し、米国に輸出する製品は関税の対象となってきています。

米国内では、割と大型なピックアップトラックやSUV(多目的スポーツ車)、ミニバンなどの乗用車が生産されています。
日本で生産され米国に輸出されている自動車製品はそれらよりも小型でリーズナブルな価格帯の車種であると言われています。
これらの比較的コンパクトで価格も手頃な日本製の自動車が関税や入港料の影響で、
米国内の販売価格が上がってしまう可能性もあると考えられます。

半導体製品やIT機器、設計で世界を牽引しているのは米国の企業です。
アジアのメーカーはその米国の設計をもとに製造体制を組んで新しい最先端技術を実現させています。
自動車分野では電気自動車では米国のテスラや中国のBYDなどが量産・普及で先行しています。
バッテリーEV(電気自動車)は中国で新技術の採用が世界の先端を行っています。
新技術の恩恵は設計する企業だけにとどまらず、
それをつくり組み立てる企業からその製品を購入して使うグローバルなユーザーにまで結果的に行き届くことになります。
米国の巨大な設計メーカー企業が自ら選んできた供給網ですが、
トランプ関税下でも安くて良い製品をつくる供給網について改めて計画を再考したり、
米国の政策によって、製造業の米国製回帰も再検討しなければいけない流れにもなってきているとも考えられます。