植物由来の素材

(画像イメージ、プラスチックごみが最近話題となっています)

植物由来の素材について、高分子化学的なアプローチでの素材の実用化が始まろうとしています。
もともと、環境志向の科学や化学のニーズがある昨今では歓迎されるべき開発領域ではないかと考えられます。
新聞でとり上げられていたのは大王製紙がセルロースナノファイバーでできたクルマの外装製品です。

現在のクルマの外装製品は強化プラスチック、合成樹脂が多く採用されているのではないかと考えられます。
こうした素材の分野においては、傾向として軽量かつ丈夫であることが追求されています。
この軽量かつ丈夫である条件に矛盾しないかたちの、例えばクルマの外装製品などの素材が求められています。

ただ、現在重要視されていることの1つに循環可能なモノであるかということが挙げられるでしょう。
例えば、クルマの外装部品でもよりよくリサイクル(再利用)可能であるかは、
国際的なモノの評価に関して非常に重要視されてくるのではないかと考えられます。
もし仮に循環(リサイクル)可能な素材ではないとすれば、今後そうした製品・部品は別の循環(リサイクル)可能な素材へと、
代替される可能性が高いということでもあろうかと考えられます。

循環可能な資源・社会の実現はいわば理想です。
現実は石油化学製品であるプラスチックなどは日本国内では現在のところ多様に・便利に使われているのが現状です。
江戸時代の日本では、石や岩と木材で造られた建物や建造物と発酵と醸造、農業をうまくサイクルさせた営みによって
欧州や国連の昨今提唱されている理想に近い生活が実現されていたのではないか
とふと筆者は考えることがあります。

身近なモノでは私たちが便利に着る衣服も、綿100%のシャツやTシャツの上に、機能性ウェアのダウンジャケット等の
アウターを着ているというのが現実です。
機能性ウェアの進歩には高分子化学が不可欠で、それには繊維の科学が凝縮されています。
そして命や健康とは儚いもので、アレルギー性疾患や肌荒れをしやすい人は肌着は肌にやさしい
天然素材などの衣類を選択します。
寒い冬の季節に天然素材と合成繊維の機能性ウェアを重ね着して寒さ対策をしている現代人の筆者は、
この身近なところに、現代の衣類製造・生産の理想と現実を見ているのかもしれません。