部品供給網の新たな模索

2021年5月中旬執筆現在、製造メーカーの部品供給網の再考の取り組みが報じられています。
2021年は2月の寒い時期にアメリカで厳しい寒波の被害が出て、半導体の生産が停滞しました。
このアメリカの寒波で生産の被害を被ったのは半導体大手メーカーです。
それだけではなく、日本でもルネサスエレクトロニクスの那珂工場が火災に見舞われました。
ルネサスエレクトロニクスの那珂工場は車載向け半導体の生産を担っている現場であり、
アメリカの寒波に引き続いて日本でも車載向け半導体の生産の停止となりました。
復旧への軌道には乗ってきているようですが、ある程度の修復期間は必要となっています。
車載向け半導体の不足はものづくりの現場の大きなニュースですが、それにとどまらず製造メーカーの工夫が始まっています。

寒波や火災だけではなく、コロナ禍や米中貿易摩擦などの要因を受けて、
ものづくりメーカーも製造製品の部品の供給網の再構築を模索する動きが始まっています。
東南アジアで部品製造拠点を設けているメーカーなども1つだけの生産拠点で生産を賄うことをリスクと見なす動きが始まりました。
コストの観点からすれば、従来は1拠点で安く良いものを生産させること、そうした上で効率を考えることが利点のように見えていました。
しかし、一旦その1拠点からの生産稼働が見込めなくなった場合のリスクと損害規模を考えたときに、
ある程度コストがかかったとしても1部品を複数拠点で生産させて部品供給網を再構築することを重要視するトレンドが起きてきています。

製品を生産・供給するために多数の部品を集めて組み立てる際に、部品を安価なだけではなく安定的に得られる体制に見直す動きが加速しています。
世界最先端の半導体の生産は現在台湾に集中していますが、
このこと自体もリスクであると捉える先進国では、自国に半導体の先端品を生産する工場を誘致したいと表明する事例が相次いでいます。
ものづくりメーカーの世界では今、それぞれの部品供給網の再構築を模索する動きが活発になってきています。