X線CTスキャニング

X線CTスキャンで内部形状を透視
X線CTスキャニング

鋳造品内部にできる空洞や気泡状の欠陥状態を透視。


鋳巣について

鋳巣

鋳造(溶けた金属を型に流し込む)工程でよく発生する代表的な鋳造欠陥の一つです。

🔍 鋳巣の概要

鋳巣(blowhole / shrinkage cavity / porosity)とは、鋳物の内部または表面近くにできる小さな穴や空洞のことで、見た目はスポンジ状や点状の空隙として現れます。鋳巣は鋳造後の気密性低下、強度低下、表面欠陥の原因になります。


🧪 主な種類

  1. ガス巣(gas porosity)
     鋳込み時に**ガス(空気、水蒸気、ガス化した成分など)**が抜け切らず、凝固中に閉じ込められたもの。
     - 原因:ガス発生、通気不良、湯流れの乱れ
     - 対策:脱ガス処理、乾燥、湯道設計の改善

  2. 収縮巣(shrinkage cavity)
     金属の凝固収縮により、補給される金属が不足してできる空洞。
     - 原因:肉厚部での凝固遅れ、押湯不良
     - 対策:押湯設計、冷却速度制御、方向性凝固

  3. 微細鋳巣(micro porosity)
     微細な気孔が分散している状態で、外見では判別しづらい。
     - 原因:局所的なガス溶解、凝固時の微小収縮
     - 検査:X線CT、超音波探傷、比重試験など


⚙️ 発生原因(代表例)

  • 溶湯中のガス含有量が多い

  • 金型または砂型の通気性が不十分

  • 溶湯温度や注湯速度の不適切

  • 凝固順序や押湯配置の設計不良

  • 冷却速度のバラつき


🧰 対策・防止策

対策項目 具体的内容
脱ガス処理 アルゴン吹込みや真空脱ガスでガス除去
押湯設計 凝固方向を制御し、最後に押湯部が凝固するよう設計
通気改善 砂型・金型の通気性確保、ベント孔設置
湯口・湯道設計 スムーズな流動で気泡混入を防止
温度管理 適切な注湯温度と冷却速度を維持

🔎 検査方法

  • X線透過検査(RT):内部欠陥の可視化

  • CTスキャン:立体的な鋳巣形状の解析

  • 超音波探傷(UT):非破壊で内部欠陥の検出

  • 浸透探傷(PT):表面鋳巣の確認


📊 影響と品質評価

鋳巣があると以下のような影響が出ます:

  • 機械的強度・疲労寿命の低下

  • 加工時の表面破損や気密漏れ

  • 製品の外観不良や塗装欠陥